脂肪肝とは?
脂肪肝とは、肝臓の細胞に中性脂肪が過剰に蓄積した状態です。
以前は、お酒をあまり飲まない方にみられる脂肪肝を「NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)」、その中でも炎症を伴って進行するものを「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」と呼んでいました。
現在は脂肪性肝疾患の考え方が変わり、新しい名称が用いられるようになっています。
その名称が、
MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)
です。
MASLDは、肝臓への脂肪蓄積があり、肥満、血糖異常・糖尿病、高血圧、脂質異常症などの心代謝系リスクを伴う脂肪性肝疾患です。
つまり現在では、脂肪肝を単に「お酒を飲むか、飲まないか」だけで考えるのではなく、肥満や糖尿病などの代謝異常との関連を重視して考えるようになっています。
さらにMASLDの中でも、肝臓に炎症や肝細胞障害を伴う状態をMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)と呼びます。
脂肪肝(MASLD)はなぜ起こるのでしょうか?
脂肪肝、特にMASLDには生活習慣や代謝異常が深く関係しています。
代表的なものとして、
- 肥満・内臓脂肪の増加
- 2型糖尿病・血糖値の上昇
- 高血圧
- 中性脂肪高値やHDLコレステロール低値などの脂質異常
- 運動不足
- 過剰なエネルギー摂取
などがあります。
一方で、太っていない方にも脂肪肝はあります。
「体重は正常だから脂肪肝は心配ない」とは限りません。
また、肝機能異常がある場合には、脂肪肝だけでなく、アルコール、B型肝炎、C型肝炎、自己免疫性肝疾患、薬剤など、ほかの原因による肝障害が隠れていないか確認することも重要です。
脂肪肝を指摘されたら「ALT」にも注目を
健康診断で脂肪肝を指摘された方には、ぜひ一緒に確認していただきたい数値があります。
それがALTです。
日本肝臓学会は「奈良宣言2023」において、ALTが30 U/Lを超えていたら、まず医療機関を受診することを勧めています。
「少し高いだけだから」
「毎年同じくらいだから」
「お酒を飲まないから大丈夫」
と、そのままにしている方も少なくありません。
しかし、ALTが30を超えている背景に、脂肪肝(MASLD)をはじめとする慢性肝疾患が隠れていることがあります。
特に、
- 健診や腹部エコーで脂肪肝を指摘された
- ALTが30を超えている
- AST・ALT・γ-GTPの異常が続いている
- 糖尿病がある
- 高血圧や脂質異常症がある
- 体重や腹囲が増えてきた
といった方は、一度肝臓の状態を詳しく調べることをおすすめします。
脂肪肝で大切なのは「肝線維化」の評価です
脂肪肝の診療で大切なのは、単に「肝臓に脂肪がついているかどうか」だけではありません。
より重要なのが、
肝臓の線維化がどの程度進んでいるか
ということです。
脂肪肝の一部では、肝臓に炎症が起こり、長い年月をかけて線維化が進行します。さらに進行すると肝硬変となり、肝がんを発症するリスクも高くなります。
一方で、脂肪肝があるすべての方が肝硬変になるわけではありません。
そのため、脂肪肝があるかどうかだけで終わらず、「進行する可能性の高い脂肪肝」を見つけることが重要です。
脂肪肝ではどのような検査をしますか?
脂肪肝を指摘された場合、まず血液検査でAST、ALT、γ-GTP、血小板数などを確認します。
また、血糖、HbA1c、中性脂肪、コレステロールなどを調べ、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病についても評価します。
必要に応じてB型肝炎・C型肝炎など、脂肪肝以外の肝疾患がないかも確認します。
さらに、年齢・AST・ALT・血小板数から計算するFIB-4 index(FIB-4インデックス)などを利用して、肝線維化が進んでいる可能性を評価します。
そして、脂肪肝の診断や経過観察で重要な検査の一つが、腹部超音波検査(腹部エコー)です。
当院では通常の腹部エコーに加えて、必要に応じて肝臓の「硬さ」と「脂肪化」を数値で評価します。