2026年10月12日

食後の胃もたれが続くのはなぜ?原因と胃カメラを受ける目安|西宮・夙川
食べる楽しみが、胃もたれで台無しになっていませんか?
秋になると、旬の魚や栗など、おいしいものが食卓に並びます。私もお寿司やモンブランが好きなので、食欲の秋を理由に、この季節は特に食事を楽しんでいます。
ところが、「食べたい気持ちはあるのに、食べると胃が重い」「少し食べただけでお腹がいっぱいになる」「食後、いつまでも胃に食べ物が残っている感じがする」。そんなことはありませんか?
一度食べすぎた後の胃もたれなら、時間がたつと落ち着くこともあります。ただ、普段の量でもつらい、何度も繰り返す、食事を楽しめなくなっている場合は、「食べすぎ」だけでは説明できないことがあります。
今回は、胃もたれの仕組みと、胃カメラを考えたい場面についてお話しします。
私も、焼肉を食べすぎると胃が重くなります
実は私自身も、年々、焼肉を食べすぎた後に胃が重くなることが増えてきました。昔から焼肉は好きなのですが、以前と同じように食べると、後から「ちょっと食べすぎたかな」と感じます。一方で、年々、魚を好んで食べるようにもなってきました。
「これも年齢のせいかな」と思うことはあります。ただ、消化器内科医として、胃の不調を年齢だけで判断しないことも大切だと考えています。
私も胃カメラを受け、問題がないと分かり、安心しました。もちろん、私が大丈夫だったからといって、同じ症状の方も皆さん大丈夫というわけではありません。
「年齢のせいだろうと思うこと」と「実際に調べて問題がないと分かること」は、やはり違います。
胃もたれには、胃カメラで分かる原因と、見えにくい原因があります
胃には、食べたものを一時的にため、胃液と混ぜ合わせ、少しずつ十二指腸へ送り出す働きがあります。食べ物が入ると筋肉をゆるめ、受け入れる場所をつくることも、胃の大切な働きです。
この働きがうまくいかないと、少量で満腹になったり、胃もたれが起こったりすることがあります。胃・十二指腸が刺激に敏感になることも、症状に関係します。
一方、胃もたれを調べるために胃カメラを受けていただくと、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、ピロリ菌感染に伴う胃炎や萎縮性胃炎、胃がんなどが見つかる場合もあります。胃炎が見つかっても、それだけで症状の原因と決まるわけではありませんが、治療や経過観察を考える大切な情報になります。
潰瘍や炎症、腫瘍など、検査で確認できる病変のある病気を「器質的疾患」といいます。胃カメラは、食道・胃・十二指腸のこうした病気を調べるために有用な検査です。
では、胃カメラで異常がないのに、胃がつらい場合はどうでしょうか。
その背景にある病気のひとつが、機能性ディスペプシア(FD)です。胃もたれ、少量で満腹になる感じ、みぞおちの痛みや焼ける感じが慢性的に続き、症状を説明する明らかな病気が見つからない状態を指します。胃の動きや感じ方などの「機能」が関係するため、「器質的疾患」に対し、「機能的疾患」にあたります。
「胃カメラで異常がない」と「胃の不調がない」は、同じではありません。 胃の動きや刺激への敏感さは、通常の胃カメラだけですべて判断できるものではないからです。
ストレスや睡眠不足も胃の働きに関係しますが、「気持ちの問題」で片づけず、症状の経過や食事、お薬との関係を確認していきます。
「食欲が落ちた」のは、胃の病気? それとも薬の作用?
最近、糖尿病や体重管理に関する話題で、「GLP-1」という言葉を目にした方もいるかもしれません。
GLP-1関連の薬の一部には、食欲に働きかけるだけでなく、胃から食べ物が先へ進む速度を遅くする作用があります。そのため、少量で満腹になったり、胃もたれや吐き気が出たりすることがあります。
薬を使い始めた後や、量を増やした後から胃の調子が変わった場合は、薬の影響も考えます。「食欲が落ちているから、薬が効いているのだろう」と思っていても、食事や水分が十分にとれないほどの症状を我慢する必要はありません。
ただし、すべての不調を副作用と決めつけず、必要に応じてほかの病気も調べます。自己判断で中止せず、処方した医師にご相談ください。
胃の診察では、「何を食べたか」だけでなく、「どんな薬を使っているか」も大切な情報です。 他院やオンライン診療で処方された薬もお知らせください。胃の中に食べ物が残りやすくなる薬もあるため、胃カメラの予約時にもお伝えいただき、検査前の食事や薬の扱いを個別に確認します。
食事の工夫と、受診を考えたいサイン
胃がもたれるときは、一度にたくさん食べず、無理なく食べられる量を少しずつ、ゆっくりとってみてください。揚げ物など脂肪の多い食事で症状が強くなる場合は、量や回数を調整しましょう。
コーヒーやお酒も、人によっては不調のきっかけになります。ただ、あれもこれも禁止する必要はありません。どんな食事の後につらくなるのかを振り返り、ご自身に合った調整をすることが大切です。胸やけもある方は、食後すぐに横にならず、夕食から就寝まで時間をあけることも役立ちます。
それでも胃もたれが続く、何度も繰り返す、市販の胃薬でも改善しない場合は、一度ご相談ください。
特に、意図せず体重が減る、食べられる量が明らかに減る、嘔吐を繰り返す、食べ物がつかえる、貧血を指摘された場合は、早めの受診をおすすめします。黒くタールのような便、吐血、強い持続する痛みがある場合は、通常の予約を待たず、速やかに医療機関の受診を検討してください。
胃カメラの結果を、その後の治療につなげます
胃もたれのある方全員に、すぐ胃カメラが必要というわけではありません。症状の経過、年齢、ピロリ菌感染や除菌の経験、過去の検査結果などから必要性を判断します。
潰瘍や逆流性食道炎が見つかれば、その病気に応じた治療を行います。腫瘍が疑われる場合は、組織検査などで診断を進め、必要な専門医療につなげます。
症状を説明する病気が見つからなくても、そこで診療は終わりません。機能性ディスペプシアなどを考え、胃酸を抑える薬、胃の動きを改善する薬、漢方薬などを症状に応じて選び、生活の調整と合わせて治療します。
胃の不調を我慢せず、ご相談ください
「胃が弱い体質だから」「年齢のせいだから」と、食事を楽しめない状態を我慢していませんか。「以前の胃カメラがつらかった」と、検査をためらっている方もいらっしゃると思います。
当院では細い内視鏡を使用し、ご希望やお身体の状態に応じて、鎮静剤を使用した苦痛の少ない胃カメラ検査を行っています。
長年、消化器診療に携わるなかで大切にしてきたのは、検査結果だけでなく、患者さんが日々どんなことに困っているかを伺うことです。病気がないかを確認し、その後も続く不調には、症状に合った治療を一緒に考えていきます。
西宮・夙川・さくら夙川・香櫨園周辺で、胃もたれや胃痛、食欲低下にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
食事を楽しめる毎日に向けて、まずは胃の状態を一緒に確認していきましょう。
その上で、おいしいものを心おきなく楽しみたいですね!!
にしじま内科・消化器内視鏡クリニック
院長 西島 規浩
